シンガポール:関連情報(書籍等)


 ここでは、単なるガイドブック,観光ガイドではない、シンガポールを知るための資料を紹介しましょう。さてさて、どういう資料が良いかと思い出してみたのですが、残念なことに、単行本として出版されているシンガポール関連書籍の多くは、駐在経験のある方が、個人的体験をまとめた形式が多く、内容にやや偏りが見られます。
 深い取材に基づくタイトルや、専門家の方がチームとなって分野ごとに執筆したタイトルは、たまにしか出版されないため、結果的に少々古い本を推薦していることをお許し下さい。建国の父・リー・クワン・ユー[Lee Kwan Yew]氏の書かれた書籍も、少なからず和書で存在しますが、残念ながら諸般の理由で、いずれもあまりお勧めできませんので、リストアップしていません。


●書籍編:和書
「21世紀初頭のシンガポール―その街角から」角田方衛 (著), ISBN4-1600-8015-4, (2005)
 ひっそりと出版され、メディアでもほとんど取り上げられていませんが、広範に、かつ客観的に記述されていて、中身が濃く、現在ベストと呼べる1冊です。著者は、工学系(金属)の研究者で、2002-2005にわたり、NUS(シンガポール国立大)に客員教授として滞在し、その時の体験をベースに書かれた本です。この種の本においては、筆者の勤務先や、職業ネタに内容が偏りがちなのですが、専門外であるはずのシンガポール〜日本間の歴史的なつながりなども深く掘り下げていて、またリー・クアン・ユー氏の発言の引用や、現地紙のST[Straits Times]の記事の引用・分析、各種の統計資料などもふんだんに用いることで、一般的な視点に立った解説を試みる努力の跡が、随所にうかがえます。
 タイトルにもあるように21世紀になってから登場したような時事ネタも多数に書かれている点もオススメの理由の一つです。特に、ドライバー視点で、道路交通事情を記述した本は、他にはない特徴となっています。


「シンガポール ガーデンシティで新発見!」WCG編集室, ISBN4-8955-9465-3, (1999)
 名書だった「シンガポール路地裏百科」(ISBN4-8955-9304-5, 1994)の著者である葭原麻衣 (よしはら まい)さんが数多くの記事を執筆されていて、路地裏百科の実質的な改訂新版です。とりあえずシンガポールを知るための本を一冊、ということであれば、本書をお薦めします。歴史や、伝統などにもページを割きつつ、ナジフ・アリ[Najib Ali], ジャック・ネオ[Jack Neo], ディック・リー[Dick Lee]といった芸能人のインタビューも収録されていて、バランスの取れた内容になっています。しかしながら、発売後すでに5年以上が経過しています。シンガポールは、社会変化が早い街なので、最新流行などに関しては多少割り引いて読む必要があります。出版社には、そろそろ改訂新版の発行をお願いしたいところです。


「シンガポールを知るための60章」田村慶子 (編)、ISBN4-7503-1477-3, (2001)
 別途紹介した「シンガポール ガーデンシティで新発見!」が、ソフトカルチャー寄りの内容に対して、本書は、政治、経済ネタも数多く取り上げていて、やや固い内容となっています。話題の取り上げ方も幅広く、1章ごと・分野ごとに専門家の方が執筆されているので、大変深い記事となっています。


「頭脳国家 シンガポール」田村慶子(著), ISBN4-0614-9135-0, (1993)
 シンガポールの陰の部分について書かれた本として、出版当時、画期的な1冊でした。新書本のため、値段が安い点も、お勧めの理由のひとつです。特にシンガポールの教育事情などに関しては、大変よく記述されています。残念なことに出版から既に10年以上が経過しており、その点、割り引いて読む必要があります



●書籍編:現地出版の洋書
"MAKANSUTRA"(マカンストラ) by K.F.Seetoh, 毎年出版
 シンガポールのローカルレストランガイドの決定版!、管理人も大推薦のシンガポール食べ歩きの友です。これ1冊さえあれば、他のグルメガイドブックは不要です(断言)。管理人も街歩きのお供に、必ず持って出かけます。元々は、ホーカーズフードのガイドブックとして出版された、いわばB級グルメガイドでした。好評のため、毎年確実にバージョンアップを重ね、現在では、ホーカーズフードのみならず、中級レストラン、高級レストランのセクションも設けた完全なレストランガイドブックとなっています。毎年発行のため、移転の多いホーカーズ情報も最新で、安心感があります。構成も大変丁寧で、ローカルフードに馴染みのない人のために、アイテムごと(例えば、LAKSAとか)に、カラー写真と簡単な説明を添えています。また、味に関しても、ミシュランの星に対抗して(?)、お箸で表記されていてユニーク(最高点は、箸3膳)。さらに、地区ごとに独立した地図ページ、お店のアルファベット順リストを巻末に添えるなど、随所に使いやすさに対する配慮があります。これだけの内容を考えれば、約S$15は安い!。Kinokuniyaをはじめ、メジャーな書店ではレジ近くに平積みされていて、簡単に入手可能です。
 公式オンラインサイトでは、ホーカーズ食べ歩きツアーの告知や、TV番組の紹介などもあります。


"Singapore Street Directory"
 シンガポールで現地出版されている地図帳です、"Mighty Minds"出版のものと、"SNP Publishing"出版のものがあります。前者の方が、絵地図的で、後者の方が伝統的な地図帳形式です。紀伊国屋、ポピュラーなどでカウンター近くに平積みされていて、簡単に手に入ります。確かに値段は安いのですが、これが重い!、日本へ持ち帰るのに勇気がいります。別ページでも紹介しましたように、無料で使えるオンライン版がありますので、ストリート名と番号まで入力すれば、正確な位置を割り出せるオンライン版の方がお勧めです。



●映画:シンガポールの映画人
 後述しますが、管理人は、体系的知識を持ち合わせておりませんで、代表的監督さんのお名前のみを列挙したいと思います(以下、姓のABC順、敬称略)。

   ・ジャック・ネオ[Jack Neo]
   代表的映画人にして、コメディアン。代表作は、"Money No Enough"(1998)、"I Not Stupid"(2002)など。

  ・エリック・クー[Eric Koo]
   代表作は、"12 Storeys"(1997)、など。

  ・タン・ピンピン[Tan Pin Pin]
   代表作は、ドキュメンタリー形式の"Singapore GaGa"(2006)、など。

  ・ロイストン・タン[Royston Tan]
   代表作は、"881"(発音は、パパイア)(2007)、など。

  ・ケルビン・トン[Kelvin Tong]
   弁護士、ST紙の記者を経て、映画監督になった、異色の経歴の持ち主。代表作は、"The Maid"(2005)、など。



●映画:個別の作品
 シンガポール製作のローカル映画は、残念ながら香港ほどの活気や、影響力がありません。映画館の量と質では、東南アジアでもトップクラスで、映画好きは多いはずなんですが。映画コンテンツを育てる長期戦略が、今までなかったのかもしれません。
 シンガポール映画について、筆者は体系的に整理された知識を持ち合わせておりません。香港映画に比べて、日本における入手性も、大きく劣ります。ここでは、とりあえず日本国内で入手可能なタイトルのみ紹介させていただきます。

フォーエバー・フィーバー[Forever Fever], (1998)
 日本で簡単に入手可能なシンガポール映画として、また優れたコメディー映画としてもお勧めします。ストーリーなどについては、多数の映画サイトで紹介されているので割愛しますが、似非トラボルタのチープさもイイ感じで気に入りました。舞台そのものは70年代で、確かに今のシンガポールと異なる世界が描かれていますが、細かいモチーフに関しては現代と変わらない部分もあります。例えばバイクのナンバープレートの付け方、あるいは主人公の勤務するスーパーマーケットが、堂々”エンポリウム”(^^;と名乗っているところとか。


「クレメンティでお買いもの」香椎由宇, (2005)
 異色のシンガポールビデオとして、この作品をおすすめします。香椎由宇さんは、SF映画”ローレライ”のヒロインで、ほぼ同時期に作られたビデオです。
 彼女は学生時代、シンガポールに在住していることがあり、ビデオでは、その想い出の場所(学校、ホーカーズセンター)を場所を訪ねて歩く形式になっています。タイトルの”クレメンティ[Clementi]”とは、郊外(西部地区)の住宅地であり、シンガポール日本人学校のある場所です。日本人学校内にビデオが持ち込まれること自体、少ないケースで、地味ながらも一見の価値があります。ただしこの文章を読んでるような方に関しては、レンタルビデオで十分かと思います。
 蛇足ながら、私は、”香椎由宇”という名前が本名だということを、このビデオを見て初めて知りました(芸名だと勝手に確信していました)、またお父様がどういう仕事だったのかと、非常に気になりました(かつて住んでいた場所は、超1等地にあるエリザベスだそうで(^^;)


●リンク:日本語による現地発信情報
 昔は、Starport(現在のSo-net Singapore)の現地情報が非常に充実していましたが、Starportは、ずっと以前に消滅していて現存しません。現状、下記のサイト情報がお勧めです。

パルティ
マンゴスティン倶楽部
 2誌とも、シンガポール現地発行のフリーペーパーです。生活情報なども充実していて、ショップ情報、カルチャー情報は、旅行者にも参考になります。


●リンク:英語による現地発信情報
The Straits Times Interactive[STI]
 "Singapore Press Holding[SPH]"社の発行する、シンガポールを代表する日刊紙のオンライン版です。記事全文を読むには、残念ながら有料購読契約が必要です。

Channel News Asia[CNA]
TODAY Online
 両方とも、Mediacorp社の運営です。CNAは、リアルタイムニュースに強いオンラインサイトで、記事によっては動画のニュースクリップもあります。
 TODAYは、日刊のフリーペーパーで、MRT駅の改札付近などで、よく配布されています。TODAYのオンライン版も、無料で全文読むことができ、PDFと、テキストが選択できる機能が秀逸です。PDFを選択した場合、広告も含めて紙面を完全に読むことが出来ます。


●リンク:日本語によるポータル、その他
シンガポール自由旅行専科
AllAbout シンガポール
 いずれも定番サイトですね。

「シンガポール満喫術!」
 ノウハウを網羅的に紹介したサイトです。写真は少ないものの情報量には圧倒されます。特にショッピング関係の情報は、極めて充実していて、他の追随を許しません。

しそがぽーる
 これは凄い!、シンガポール発信のVOWネタ満載!


改訂:2008.07.06 (Ver 1.1)
初版:2006.01.25


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